2018/04/17 22:52

おいしいだけではなく、心までも豊かになれる時間をもっとつくるために。

決してマニアックにはならず、誰にでもわかっていただけるように心がけて、シリーズ The Story of Our Tea をはじめます。


▶The Story of Our Tea #01 / 滋賀県 蒲生郡 日野町 / 満田久樹さん 

滋賀県の日野(ひの)という町をご存じですか?かの近江商人発祥の地としても知られる町。

私はこの町にお住まいの満田久樹さんから、煎茶を仕入れて販売しています。

日野。とある住民の方は「陸の孤島で、外部の情報が入らない」と表現なさいました。
そんな町とも有難いことに縁があったのです。母方の祖母が、この町で育ち、学んだのでした。

日野には小さなころから毎年のように通い、楽しみにしていたのは田園、里山、川辺を散歩すること。夏・地蔵盆の夜、大人たちも浮足経ったような独特の空気感もまた、大阪暮らしの私にはちょっと幻想的な魅力がありました。

そうして月日は流れ、お茶を好きになって出会った一冊の本があります。

飯田辰彦さんの「日本茶の『発生』」(鉱脈社, 2015)です。このなかで紹介されていたのが満田さん。日野という縁のある土地、心のむくままに電話をして、お会いするに至ったのでした。

▶子どもたちが安心して飲めるお茶を

彼は3代目の茶農家として煎茶を中心としたお茶をつくっています。煎茶とは、お茶の葉を蒸してから揉んで乾燥するもので、「日本茶」とか「緑茶」というとほとんどの方がイメージするお茶のことです。

原料となる樹は、「やぶきた」という品種茶と「在来種」。



やぶきたは、品質の良さや多収が見込めることなどから、国内で圧倒的なシェアを誇ります。
一方の在来種とは、品種改良を経ず種から育ったお茶のことで、満田家では初代が宇治から取り寄せた茶の実を植えたと伝わっています。在来種は流通量のうちたったの3%未満のみ。


満田さんは、ご自身が茶業を引き継いでからは農薬と化学肥料を使用していません。有機肥料も投下量はごく少なめ。これらの理由はシンプル。「体が欲するお茶、子どもたちが安心して飲めるお茶」をつくりたいからです。

また、在来種のお茶は市場価格は低めなお茶であるも、すっきりした飲み口・素朴な味わいが好印象。際立った味わいや香りが特徴の品種茶とは異なり、突出した個性はないけれど、それだからこそ毎日の食卓にそっと置いておきたい優しいお茶なのです。

満田さんも、家で飲むお茶は昔から専ら在来だったといいます。すっきりして体が受け付けやすいからです。

▶人柄そのままのお茶をどうぞ

満田さんのお茶は、彼そのまま。誠実で優しいお人柄が、お茶の味わいに生きています。

決して押しつけがましくなく、控えめだけれども、筋の通った信念を内に宿す。メラメラと燃えるタイプではないけれど、さわやかに茶畑を抜けていく微風みたいな人なんですよ。

工場の横にある直売所では、いつもお茶を楽しみながらゆっくりとお茶談義を。お茶業界の行く末をずっと案じつつも、切り抜けていくための策をいつも考えながら暮らしておられます。

当店でも人気のラインナップのひとつ。90度の熱いお湯でサッと淹れるのが私のお気に入りです。お試しあれ。